連結送水管・消火栓ボックスを改修する時の注意点

最近こんな質問が増えています。


“連結送水管や消火栓のボックスを改修した際、消防署への届出は必要なのでしょうか。”という質問です。

一言で簡単に言ってしまえば、当然必要です。

これは、以前にも消防設備全般ということでお話ししたかと思います。

しかし、どのようにどこまで改修したのかによって、届出が必要かどこまで確認しなければならないかが異なってきます。


避難ハッチなどの場合は、避難器具以外の関わりはないので避難器具としてのみの判断になります。

ところが、連結送水管や消火栓の場合は、自火報設備や警報設備が一体型で付いている場合があります。

この設備も新しいものに交換したか否かによって、その届出義務も発生してくるのです。

すべて合わせて新しく交換したのであれば、当然届出は必要です。

自火報・警報設備を既存のままでボックスのみの交換であれば、その部分についての届出は必要ないでしょう。

もちろん、いずれも設備士(甲種4類所持)が立ち合い施工しなければなりませんし、取付後の試験調整は必要です。


次に問題となるのが、バルブの問題です。

ボックスの中には、バルブというものが付いているので、ボックスを撤去する場合バルブを外して工事する場合が多いのです。

そうなれば、今度は違う設備士(甲種1類所持)の立ち合いが必要になります。

つまり、普通に考えれば、連結送水管や消火栓の工事には、2種類の資格を持った設備士の立ち合いが必要になるということです。

この2種類の資格は、系統の違う電気系と水系であるため、この業界に長く身をおく人でも1人で両方所持している人はまずいないでしょう。

いたとしても、資格をとりあえず持っているだけという人が多いです。


また、バルブを外すということは、戻した後に水漏れを起こす可能性が出てくるということ。

バルブ内のゴムパッキンは、劣化してひび割れし水漏れの原因になります。

時間が経過したねじ山は固くなり、脱着時になめてしまうこともあります。

これらを確認するには、ポンプ車を呼んで圧力をかけてみるしか方法はありません。

もし何も知らずに施工して万一不具合でも見つかったら、最悪の場合修理に数十万ではきかなくなることも。

一歩間違えば、水が吹き出し非常ベルが鳴って消防車が・・・・なんていうこともあります。

実際に聞いた話しでは、その事故は高層の建物で、エレベーターが水浸しになり損害額が1千万を超えたとか。

ゾッとしますね。

こんなリスクが多い工事は、誰もがあまりやりたくないでしょう。

だから、需要はあっても請け負う業者がなくなってしまうのです。

ただこれは何も知らない一部の業者が起こしたもので、きちんとした知識や経験さえがあればそれほど恐れることもないのですが。

簡単に言えば、自火報はそのままバルブも外さず施工すれば良いということです。

その方法であれば、耐圧試験も消防申請も必要ありません。

結果、コストも最小限で止めることができます。


このように、何も知らない業者に依頼すると大きなトラブルを招くことがありますので、消防設備の依頼には十分注意してください。